飢餓状態

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時々、「美術の才能はすぐれた親などの遺伝子を受け継いでいないと無理なのでしょうか?」と質問されることがある。もちらん親子はそっくり同じではないけれども、手先の器用さや持久力などの身体的な特徴をはじめ、ちょっとした感情表現における性格的な特性まで、同じで似ていることは多々あるの事実だ。そのため、美術家として必要な能力は、良い血の繋がりがなかったら難しいと思い込みやすい。しかし、それだけでは美術家になるための最初の入り口を通り抜ける時に少しくらい有利になるだけ。フルマラソンで例えるのなら、百メートル前からスタートできる程度で、そんなに大きな差はないと言った方がいい。むしろ美術家はそれぞれ違っていることに着目しよう。誰一人同じように生きた人がいないように、どうやって美術家になれるのかは謎のまま。まだまだ解明されていないのだ。

だからよくわからないからこそ、これからの未来に大きな可能性がある。近年、過去の様々な美術家の情報を集めて、それを参考に新しい可能性を探れるビックデータの時代になった。これまで成功している美術家を分析すれば、上手く立ち回っていけそうな印象があるけど、実際はそんなに甘くはないだろう。同じような遺伝子を持つ親子ですら違ってくるように、どんなに素晴らしいことを知り得たとしても、その人の感性は精密機械ではないから、ある程度のことしか参考することができない。

つまり美術家を目指し人にとって大切なことは、自分にしかできない美術を目指す覚悟だ。いわゆるハングリー精神を前面に押し出し、個性的なものを求めて強い気持ちで創作していく魂を燃やすこと。そう、人の可能性を大きく伸ばすのは現状に満足することがなく、「もっとこうなりたい」といういハングリー精神があってこそ、美術へチャレンジしていけるのだ。即ち、美術の才能はやる気次第で伸びていくもの。「努力の天才になって頑張っていくことが第一ですよ」と回答しました。