婆沙羅

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今週のNHK Eテレの番組 先人たちの底力 知恵泉のテーマは「大ばさら大名 佐々木道誉 変人のススメ 大胆不敵なルールとは」。南北朝時代、伝統的な権威をものともせず、ド派手な身なりで傍若無人に振る舞う人をばさら(婆沙羅)と言う。その美意識を体現した武将 佐々木道誉(どうよ)。戦乱が続いて平穏を失った時代に、生き残りをかけて様々なルールを無視して、型破りのことを次々に巻き起こし、時代の寵児と持てはやされる。
そこには美しいものにこだわる独特の美学があった。自ら連歌香道に熱中したり、新興芸術の育成に積極的に取り組み、混乱が続き命を張る日々の中で、心の豊かさと落ち着きを求めた。自分の心に文化芸術を通じて軸をつくり、最善の策を講じるためにを変幻自在に立ち向かう。そして、戦いの場に身を投げ出して満身創痍になった心を芸術によって癒したのだ。
そして、常識から逸脱したと言われても一途に足利尊氏に仕える。歴史を動かす人物は変人と言われるのは、これまでと同じなら変わらないから。つまり、その時代にない新しい発想を創り出す人は大胆不敵さが目立ち、そこから変人として扱われるのだろう。美術家も変人とよく言われる。それは斬新なことをやりたがるから。意外性に満ちたもので魅力的にしようとして創意工夫と試行錯誤を繰り返す。パッと見た感じはもちろん、それまで人生をスパイスにして、より味わい深いものを目指す。変人と美術家と革命家はみな紙一重の違いかも。そんなことを考えながら楽しんだ。