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その昔から美術家になりたい人は、より多くの美術に触れた方が良いと言われている。その理由はなぜかと尋ねられたら、その答えはとても簡単なもの。世間一般で素晴らしいと言われる様々なタイプの作品を観て、どの点が優れているのかを具体的に考えさせるためだ。おそらくこれだけで美術に対する意識はずいぶんと違ってくる。美術作品を観る目が変わってくるもの。ただぼんやりと観ている状態から自分の眼にこだわりが始まる。そして、ちょっとした嫉妬心と危機が生まれて、ポイントを盗んで改善してやろうと、創作への意欲が高まっていく。ピカソの「良い芸術家は真似をする。偉大な芸術家は盗む」という格言ではないが、ビビッとくるものを真似るや盗むことは上達の基本。そこから必要なパーツを取り出して、自分の想像力に活かしていくのだ。
ただし、作品への思いは人それぞれ違うため、何が素晴らしいのかは千差万別。これを観たらいいなんて万能薬のような便利なものはない。だから今の実力はどれくらいなのかを把握して、自分に足らないものを認識することが大切だ。めったやたらに動き回って、 やみくもにしても撃沈するだけ。現状の能力を的確に知ることで、成長するためにやるべきとが見えてくる。つまり目指したい美術家の姿を明確することができれば、必然的に何を観ていけばいいのかが具体的になる。ハッキリとした未来像が描けるようになって、そこへ行くために身に付けるものがわかるのだ。なりたい美術家を目標して、どうしたらいいのかの意識を持ち続け、創意工夫していくことが最良の道になるだろう。
■稲田絵美 個展 いつの時代も 2019年4月28日(日)~5月5日(日) 11:00-19:00 定休5月1日(水)