やさしい風土

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2012年10月、子育ての傍らアート作品を創作し続けるママさん美術家によるグループ展を企画する。私が若い頃の美術界はいわゆる男社会。女流美術家には厳しかった。しかし、平成になってから美大進学の男女比は逆転するなど、女性が自由に活動しやすくなった。様々なことがプラスに作用して、門戸が開かれていった。そんな時代を肌で感じて、子育てがひと段落した人を応援する作品展を思いつく。

その時に佐々木範子さんとは初めて知り合う。実はある場所でその作品を観る機会があった。モチーフの赤ん坊は自分のお子さんで、やさしく包み込むような作品が印象に残り、人を介して出展をお願いする。当時、彼女の長女は中学生へ、長男は小学生になって、創作活動を本格的にやろうとしたばかり。そう、お互い同じ目的をシュアしていた。まったく偶然というより、必然的なご縁であって、この時から作品を展示することになる。

そうこうしているうちに月日が流れて、昨日、佐々木さんはめでたく第11回やまぐち新進アーティスト大賞に輝く。おそらく子育てで活動できない年数の控除もあったはず。なにせ、山口市ジェンダー文化は世界基準。約500年前からサビエルを迎い入れ、雪舟を支援した街に根いた風土の豊かさは半端じゃない。だから、佐々木さんもすくすく成長していった。これからも頑張れる力を育んでくれるのだろう。