ドブネズミ

f:id:gallerynakano:20220113230930j:plain


世界中の辺境地から大都市に至るまで、実際に現地を訪れて原住民とコミュニケーションしながら、あらゆるものを撮影し続けている写真家 石川直樹さん。この2年間、新型コロナウイルスが世界各地で蔓延したため、海外を飛び回って活動することが困難となっているが、石川さんの好奇心と創作意欲に休みなんてものはない。自身が生まれ育った渋谷の街に夜な夜な出没するドブネズミを被写体として選んだ。

緊急事態宣言により人々の姿が消えたネオン街を我がもの顔で駆け抜けるドブネズミたち。その動きは俊敏にしてシャープだ。そのせいか高速で連写する一眼レフカメラでは、自動被写体認証機能が間に合わなくて、ピンボケ写真になっていくばかり。そこで切り札で登場したのはなんと写ルンです(使い捨てカメラ)。ドブネズミの動きを予見してシャッターを切れば、一発勝負にはなるけど、都会の片隅でたくましく生き抜く姿を写真に収めることができるのだ。

ことわざに弘法筆を選ばずがある。写真家もまったく同じようなもの。道具の良し悪しなどは問題にしない。だからこそ、エベレストやガッシャーブルムⅡなどに登頂した際も、こだわりの型の古い中判カメラという効率が悪いものを使い、世界でただひとり、そのカメラでしか味わえない絶景が写せるのだろう。ただいま、ギャラリーエークワッド(東京都江東区)にて2月17日(木)まで、「石川直樹 ― STREETS ARE MINE」展が開催中。たくましいドブネズミをはじめ、日々目まぐるしく変化する渋谷の街などを独自の視点で切り取り表現する。この作品展は以下のユーチューブでご覧できます。どうぞお楽しみください! https://www.youtube.com/watch?v=XqdiWug_zMQ&t=2s