Shari

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昨日、NHKの情報番組「あさいち」には、独特のダンス活動を行う76歳のダンサー 田中泯氏が出演。33歳の時にパリでデビューして以来、世界中のアーティストと数々のコラボレーションし、国内外で3000回を超える踊りを披露している。そのなかで独自にあみだした場踊りとは、その時その場所で感じたものを、即興で表現するパフォーマンスのこと。
田中氏曰く、人間が動物から少し距離を置くようになって、何十万年も経ったある時から身体を動かして舞い、いろんなタイプの踊りを次々に生み出してきた。それは言葉(言語)がない時代のコミュニケーション手段に始まり、どのような経緯で発展してきたのかはよくわからない。先人たちがどういう理由で踊りと結びついたのか、どうやって踊りという文化にたどり着いたのかを考え続けている。これが自分の好奇心を一番掻き立ててくれることだと言う。そして、田中氏は「ダンサーはダンスを目的に身体を作ってしまう。ぼくはその身体で踊るのは違うと思った」と持論を展開。ダンスは基本的に外から身体のなかに刺激を受けて踊り出すこと。言葉にない時代に自分の思いを伝えるための身体表現からダンスが生まれた。人と人が通じ合うためにある。その人らしく生きることで、身体は唯一無二のものになり、メッセージが身体から送られていったのだと結んだ。
この番組を見終わってから、すぐに光市出身の映像作家 でダンサーでもある吉開菜央さんと、写真家の石川直樹さんがコラボして、日本最北の知床の斜里を舞台に制作された『Shari』が頭に浮かんだ。映画はまだ観ていないが、独自の世界観を持つ二人だから映画のための映画ではなく、斜里という土地に根付いた文化を活かしながら、それぞれの個性によって発生する化学反応により斬新な映画ができたはず。このたび時間が取れずに萩市で観られなかったことを反省するのみだ。