ドリームカムトゥルー

ある日、イラストレーターの りおた君は、彼が尊敬する同じ業界の先輩に「明日の夜ごはん、一緒にどうかな?」と、突然ダイレクトメッセージで誘われる。もちろん、二つ返事でよろしく!10数年前、プロを目指して駆けだした頃に、一番目標にした憧れた方から声をかけてもらうなんて、まさに夢のような出来事。胸の高鳴りを押さえきれずに、いざ待ち合わせの居酒屋へ出陣する。

そこでは予想外に落ち着いて立ち振る舞いをしている自分がいた。まったくの初対面なのに、すでに何度何度も会ったような雰囲気で、気心のよく知れたもの同士のフランクなコミュニケーションで華やいだ。お互いに自分の仕事へのポリシーに始まり、実直にイラストへ掛ける思いを交換し合い、そして、どうやって創作活動を進めばよいのか、という希望的な観測まで話題は盛り上がり、本音ばかりの密度の濃い内容で終始語り合った。
嗚呼、本当に夢のような一夜であった。しかし、これは紛れもない現実なのである。好きなことをこつこつ努力したことで、目標や希望を手にすることができた。自分の個性的なイラストで人を喜ばそう創意工夫した結果、まわりまわって自分が喜ぶ瞬間に巡り合う。こうして喜ばせごっこの先輩と語り合ったことに、しあわせを噛みしめながら感謝するしかない。かたくなにイラストの世界を追求して、自分なりに個性を活かしてきてよかった。「地方の街にいるのに都市部の人に勝るクオリティは素晴らしい」と認めてもらえて嬉しかった。よし、やってやるぞ!イラストレーターの人生は、すべてが未知の世界への冒険旅行に繋がっていく。だから面白いからやめられないのだ。