自らを知る

兼好法師徒然草に「されば、一生のうち、むねとあらまほしからむことの中に、いづれか勝るとよく思ひ比べて、第一のことを案じ定めて、そのほかは思ひ捨てて、一事を励むべし」という格言がある。

これは一生の中で中心としたいことの、その中にさらにどれが一番大事なのかを決めて、それ以外のことは断念して、そのたった一つのことに励みましょうと訳すことができる。いわゆる、人の一生は短いものだからこそ、あれもこれもやろうと欲張ると、結局のところ、何も成就しないまま終わるので、冷静な目で見つめて優先順位を決めたら、すぐさまやっていきましょうということを意味している。

つまり、広い範囲にわたる実践的な上達論の極意は、自分にとって本当にやるべきことが何かを見つけ出すこと。自分自身のことを客観的に見つめて、できる可能性の高いものに取り組み、成果が上がるまで創意工夫を繰り返しながら、ひたすら一つのことに集中していくのだ。イラストレーターのコサカダイキ君。彼の長所は自分自身の本心と向き合い、これだと思えることに積極的に挑戦していく。例えそれが粗削りなものであっても、鑑賞者の前にさらすことで得られる感触を求め、次回の作品展に活かして向上する意欲に満ちている。このたびもたくさんのことを学び、偏らないバランス感覚で分析していく。これからが本当に楽しみだ。そのまま突き進んでいこう!