謙虚さ

先週より、このたびで3度目になるイラストレーター コサカダイキ君の個展を開催中。デジタルで描いた新作のイラストを中心に展示している。頑張り屋のコサカ君は回を重ねるたび、作品のクオリティーは高くなり、また、作品制作する際にさまざまな工夫を凝らし、個性的な世界観を創り出していく。あえてフイルム写真のような柔和な表層で、観る人にしっくりしない感じを与えて、脳裏に印象づけようとするのは、美術学校へ行かずに、まったくの独学とは思えない技能がある。

これも子どもの頃から本気で絵を描くことが好きだから努力を惜しまない。やはり好きなものであれば、こつこつ創意工夫と試行錯誤することは決してつらくない。小さな成功体験を楽しみながら、いつの間にか何かをつかむことができる。絶えず向上できる可能性を探し求め、諦めずに探し続けているから、自分らしい表現にめぐり合えるのだろう。まずはやろうと決めたことなら失敗を恐れずに、チャレンジしていくうちに、向いたものとめぐり合うことができるのだ。

ちなみに彼の一番の良さは謙虚さだと思う。どんな時も絵を描くことを大切にしている。だから、美術の世界を正しく観ようとする姿勢を崩さない。自分勝手に美術の世界を解釈して、いい加減で間違わないように気を付ける。いつも自分を未熟者であると自覚して、あらゆる方面から学ぼうと視点を広げていく。少しばかりできるようになった者が陥っていく、自惚れという罠を遠ざけて、いつでも初心者として創作に取り組もうとしていく。美術の才能は先天的ものではなく、ずっと継続して磨いていくうちに発揮されてくる。自力で育むものだということを本能で気付いているのかもしれない。