若者たち

小学校の時、放課後の少年サッカーを熱血指導していた先生が、よく口ずさんでいた歌謡曲と言えば「若者たち」。特に、『君の行く道は果てしなく遠い、だのになぜ、歯をくいしばり、君は行くのか、そんなにしてまで』という歌詞が大好きで、それをそのまま我々にも当てはめてくるので、ひたすら気合いと根性でサッカーをやることがモットーにしていた。おかげで、私にとってこの歌の印象はどこか悪かった。なんとなく理不尽や不条理、不合理を正当化するようなイメージが抜けず、その後、しばらくの間は好きになれなかった。

しかし、さすがに二十歳くらいになると、歌そのものの本質的な良さに気が付いて、素晴らしいと思うようになってきた。じっくりと歌詞に触れてみると、夢と現実のギャップに苦しむ若者の姿が浮かでくる。純粋に好きなことをやり続けていけば、厳しい現実と直面していくため、どんどん未熟さは浮き彫りになって、無力さを知り身動きできなくなる。それでも前を向いて歩いていくしかない。たった一度っきりの人生なのだから、勇気を出して一歩一歩進んでいくのだ。

そんな熱いメッセージが理解できるようになって好きだと思うようになる。年齢を積み重ねていくうちに、精神の支柱を静かに燃やすような歌であり、人生の壁を打破するのは自分しだいと痛感し、やっぱり応援歌として良い歌だと腑に落ちる。だから、結局のところ、私もうっとうしくなってしまったのかも(笑)。それはさておいて、この歌はシンプルに若者を励まし、やさしく背中を押す力がある。それゆえに根性論的ではなく、モチベーションが高めるように柔軟に助言して、一緒になって努力することが大切になるのだろう。