成長

先月、甲子園球場で行われた夏の高校野球大会。県代表の下関国際高校は、白球に青春のすべてを燃やす。全身全霊のパフォーマンスで勝負に挑み、1つ勝ち進むごとにチームは成長し続ける。快進撃は止まらず、戦前の下馬評を覆して、ついに球児たち憧れの決勝戦へ進出。最後は力尽き果てて無念の結果になったが、全国津々浦々にその名を轟かしたのだった。

そんな満身創痍で戦う彼らの姿に、イラストレーター りおた君は心を熱く震わせる。これまで数々のスポーツの名場面を描いてきたが、人生で初めて地元チームの大躍進に、いつもより増して豊かな創造力を発揮する。中でもっとも素敵だったのは、準々決勝で国際が春の王者に勝った瞬間を描いたもの。最後のバッターに気力を振り絞って投げたボールが決まり、三振を奪ったシーンは、大相撲で平幕が横綱を倒して、興奮の坩堝化した国技館と甲子園を重ね合わせて、はち切れんばかりの空気を表現していた。

 いつも観る人の大きな期待を背負ってイラストを描くからこそ、ここ一番に感動を1つの作品で集約できる力を持っている。これまでの常識を打ち破っていくためには、自分の得意な分野だけにとらわれず、常にいろんなことを勉強する必要がある。とにかく、見聞を広くしていくには、自分の専門分野の枠をはみ出し、様々なことにアンテナを張って情報を集めることが大切なのだ。このイラストはこの時の勝利の余韻をいつまでも伝える力がある。さすが、りおた君!選手と一緒に成長している。