志定まれば、気さかんなり

ここ数ヵ月、美術家志望の若者とよく出会った。大半は真面目なタイプ。自分なりにこつこつ努力していて、人当たりの良い好感が持てる雰囲気であった。しかし、ほとんど人が美術への愛情が不足していた。好きで好きでたまらないという熱量までを感じたのはわずか。あとの人たちは美術という摩訶不思議な世界を隠れ蓑にして、世間一般の人から干渉されない場所に逃げ込んで、独りよがり美術らしきことをしているレベルだった。

私はそんな迷える人たちへのアドバイスを考えている。この場合、人それぞれ伝えるべき言葉は違うから、ケースバイケースで適切なものは変わってくるが、今一番最善だと思うのは失敗を恐れるなだろう。上手くできることに気を取られて、できることしかやらず、同じことばかり繰り返す。いつの間にかチャレンジャー精神を失い、どんどん情熱や意欲が減退している。実際に成果が上がるかどうかを気にして身動きが取れないのだ。

 つまり、失敗してもその原因を追究したり、欠点を反省して改善することで、かえって成功に近づくことができる。だから、失敗することを恐れてはいけない。すべては学びになる。果敢に臨んでみよう。失敗は恥ずかしいことではない。失敗してやめなければ、失敗したことにならない。むしろ自分の能力を知るための通過儀礼。失敗は必ず経験すべきこと。だから、目のあることをやるべきことと定めて、日々の創作に全力を傾けていく。「志定まれば、気さかんなり」。失敗するたびにいちいち迷うことなく、美術家になるという大きな夢を目指し、情熱を燃やし続けていこう!