若竹

人は年月とともに変わっていくもの。誰だって生きていくうちに何かが変化する。ずっと同じままなんてことはあり得ない。いろんなことを体験するからこそ、個性的な人間に変貌していける。ましてや、子どもから大人になる時は、自然に心も身体も変わっていく。当たり前のようだけど、とても大事なことだったりする。

この夏、生まれた頃から知っている若者とよく語り合った。長い間、それなりに会う機会があったのに、顔を突き合わせて話すのはまったくの初めて。とりあえず、美術という絶対的な共通の話題があるから、どんな流れになっても話題に事欠くことはない。いつも通りに話せばいい。なんてことが頭をよぎったが、それは取り越し苦労で、時間の無駄でしかなかった。都会の美大でバッチリ鍛えられて、大学院へ進んだ彼女の人間力は豊かそのもの。大人しかったあの少女が立派になっていて嬉しかった。

ちなみに彼女の家とのご縁は彼女の祖父の代に始まる。山口大学で型破りの名物先生。彫刻家としても知られ、県立美術館にも作品がある。そんなパワフルな祖父の長女が心やさしい母で、穏やかな陶芸家の父との間に誕生した。いわゆる芸術一家。それはそれでプレッシャーが多くて大変なこと。常に先代と実力を比較されたり、七光りと言われてはけなされる。

しかし、彼女はひるむことはなかった。我が道を行けばいい。もう既に大切な真理を悟っていたような感じ。とにかく、環境に甘えることなく、ハングリー精神を前面に押し出す。やれて当たり前の声に負けず、高い目標をノルマ化する。次に会えるが本当に楽しみだ。私も勉強して話しについていけるようにしておこう。