自発的に

一昨日、「UBEビエンナーレ現代日本彫刻展)」に参上。ここ宇部市ときわ公園は、国内唯一の野外彫刻展のひのき舞台であり、市民の心を癒す憩いの場として親しまれ、散歩や休息を楽しむ人たちで賑わっていた。私はそんなムードの中で鑑賞していたところ、眉をひそめながら「どんな風に彫刻に接していいのかがわからない」と、つぶやいてる人と何度もすれ違った。その言葉は正直な気持ちを赤裸々に語っただけ。むしろ彫刻に対する敬意すら感じてしまう。いわゆる楽しむための取っ掛かりが見つからず、どうしていいのかがわかなくて、困惑しているような様子であった。
 ちなみにこんな時はどのように声掛けすれば、彫刻への興味を深めていけるのか。常套手段としては自分の感覚に頼って、「好きなように自由に観ればいいので」。しかし、これではどこから観ていいのかがわからず、作品の前でフリーズしている人に、さらにプレッシャーを強めるばかり。かと言って、丁寧に作品について説明すると、美を発見する力が育たなくなる。自分なりに作品へ読み解いていく力が弱くなり、いろんな言葉に振り回されたり、表面的な印象しか気づかないだろう。
とにかく、一番の特効薬は観察力を磨いていくこと。自分なりに作品の線や形、色など、なんでもいいから直観力でピンとくるものをポイントにする。ただただ漫然と見つめていかないで、じっくりと感性で触れて深めてみよう。つまり、習うより慣れよ。自ら慣れようと前向きになればいい。どんなにゆっくりなペースでもいい。垣根は自分がつくっているから、まずそれをなくすことが大切だ。