お互いさま

「天高く馬肥ゆる秋」。その意味は秋晴れの空は澄み渡って高く感じ、爽やかな気候に馬が食欲を増して、肥えてたくましくなることに所以し、心身ともに快適に暮らせる季節のこと。しかし、今現在の我が国の秋は、そのような味わい深い季節だと言い難い状態。年々、地球温暖化による熱波で残暑は長引き、そして、今度は北極からの寒波が早くから到来し、厳冬を我慢する日々が増えてきた。とにかく、夏と冬が長くなって、春と秋は短くなっている。極端気象が頻発し長期化する時代なったのだろう。
ところで、そんな気候に影響されてしまったのか、このところ、さまざまな分野で極端な現象が起きている。いわゆる意見の違いから対立したり衝突したり、お互いの主義主張が噛み合わないまま、どちらか一方に偏っている。誰も自分たちこそが正しいと考えることは当たり前。だから、何が何でもそれを証明しようとヒートアップし、自己抑制力が効かなくなってバランスを失い、相手の意見を聞く耳が持てなくなっているのだ。
 禅語にある「花も美しい、月も美しい、それに気づく心が美しい」。この世はすべてものは支え合い。いろんなことが関係し合って成り立っている。知らず知らずのうちに持ちつ持たれつの関係の中で活かされていく。地球温暖化という問題は他人事ではない。みんなで考えるべきこと。例え初めは意見が食い違ってもいいから、とにかく、最善の答えを探って話し合う。人は逆境に立つと、持てる力の限りを尽くして、それを乗り越えようとする。この逆境をみんなの力で乗り越えていこう。