シリウス

「人はみんな、その人なりの星を持ってる。旅をする人たちなら、星は案内役だ。そうでない人たちなら、ただのちっちゃな光」という言葉は、サン=テグジュペリ星の王子さまの一節だ。
夜空でもっとも明るい星であるシリウス。すべての1等星のうち、太陽を除けば、地球上から見えるもっとも明るい恒星。けれど、地球からの距離は約8.7光年と言われて、1光年は光が1年間に進む距離であるため、シリウスの光はおよそ8.7年前のものを私たちは見ていることになる。だから、仮にシリウスが何らかの理由で消えてしまっても、この年月の間は光りが届くので、地球の人たちは気付かないかもしれない。
それと同じように愛すべきものの魂の輝きはずっと続く。この世からいなくなったとしても、いつまでもその光を放って、いつも通りに明るくしてくれる。そして、芸術もシリウスと同じようなもの。芸術家が天へ旅立った後も、その輝きは失われない。いつまでも鮮明なものを残す。心を揺さぶった世界観が脳裏に焼き付いている。
 つまり、芸術作品を鑑賞した時に発生する感動によって、胸を熱くする生命力が育まれていき、心の中にその思い出がずっと残っていくのだ。やはり一瞬一生ですよね。作品の前に立っているだけで、何かを感じてしまうから、芸術は永遠なんだろう。