ハングリー精神

いつも前向きに何かを改善しようとしたり、新しいことを積極的に取り組んでいる人は、過去に失敗して痛い目にあったり、未熟さを思い知らされた経験を忘れない人だ。そういう人は少々上手くいったとしても、これはたまたま運よくいっただけで、自分はまだまだのレベルだから、もっと頑張っていこうと足元を見つめ直す。これからも注意していい仕事をしなければと戒め、どこまでも謙虚な姿勢を崩さない向上心がある。

創作をする人も同じことが言える。例えば、それなりの目標を達成したあとというのは、自然と無意識のうちに気が抜けてしまうもの。美術家はあくまでもひとりの人間であって、すぐにリセットして動き出せる機械ではない。せっかく目標に達したとしても、その状態をそのままキープすることは、意外とできなかったりする。だからこそ、もう一度スタート地点に戻ってから、やっていくバイタリティーさが必要になってくる。明日の創造のために最善を尽くすことが大切になるのだ。

ただいまギャラリーで個展を行っている吉田朱里さん。このたびで5年連続5回目の開催になる。この間、なんとかなるだろうという楽観的な発想で作品制作はしていない。美術に真正面から体当たりして、感性にひらめくものを逃さず表現していく。若さのエネルギーを武器にして、豊かな想像力をフル稼働させて、常にこれまでと違う作風を創り出している。彼女はとてもハングリー。個性を活かすことに余念がない。このまま尊敬する吉村芳生さんの背中を、ずっと追っかけて努力していけばいい。