愚公移山

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美術の世界はどんなに真面目に努力しても、そうやすやすと報われないことを、美術家だと自負できる人なら誰でも知っている。とにかく何もしなかったら創造力が発展していくことはない。無我夢中になって創作している時、何が無駄で何が意味のあることかが、よくわからないからジタバタできるもの。無駄だと思われる努力を積み重ねて、やって良かったと思えるようになるのは、ずっとずっと後になってわかってくるだろう。

人生と同じように計画どおりにはいかないけど、それでもめげずにやり続ければ個性は磨かれていく。ひらめく感性を羅針盤にして生き抜いていくことだ。行き当たりばったりと言われてもいいじゃないか。美術を無垢に純粋に愚かなに愛せなければ成長することはできない。ついつい世間一般的な計画を立てて、しっかりとした目標を持って、かしこく生きろと石頭の人に言われたとしても、美術家らしく道を外れて生きるのだから、大きなお世話だと一蹴していくがいい。

つまりイマジネーションやヴィジョンを持つためには、こういうものがあったらいいと、自分勝手な空想を現実の世界とすり合わせて、具現化していけるように取り組むことだ。新しいことを創り出すには、表現力も技術力もイメージに到達するまで、徹底的に繰り返してこだわっていくこと。上手くいった時の感覚を身体に染み付いていこう。こうなったらいいを突き詰めれば、理想へ向かって展開していけるはずだ。人生の経験とともに寛容に生きていく。それが創作意欲を長持ちさせ、ひいては精神力を安定させてくれる。どこまで才能を信じて愚直に創作をしていこう!