まくら(枕)

いわゆる落語には、いきなり本題には入らず、世間話をしたり、関連する小ばなしをして、落語を演じるにあたってなくてはならない「まくら(枕)」と呼ばれるものを行う。これは本題でわかりにくい言葉や予備知識を与えることで、落語を聞きやすくするために必要な手法のことだ。

落語はまくらと本編、そしてオチの3つで構成され、一連の流れでよどみなく話して、一席の落語が出来上がっていく。つまり、「まくら」とは本編に入りやすい状態にほぐすための前フリで、また、まくらは「話す」のではなく「振る」と言うように、まず始めにまくらでお客様を「振り向かせる」という意味として使われる。
ところで、ただいま開催中の佐々木範子さんの個展は、約20年前から現在に至るまでの作品を一堂に介し、彼女の創作活動の軌跡を順を追って観ることができる。しかし、ずっと同じモチーフで描き続けているので、ざっくりと観てしまうと似たり寄ったり印象しか残らない。だから、佐々木さんに「まくら」を語ってもらえば、作品に込められた思いが感じられて、味わい深さが増すことだろう。どうか作品販売のないオープンなスペースでの作品をお楽しみください!