出会い

5年前の春、りおた君から会わせたい人がいると言うので、どれどれどんな人がくるのか楽しみにしていると、一見はクールそうな感じだけど、どこか人懐っこい若者がやって来た。早速、雑談を始めると、あることがきっかけでサラリーマン人生に疑問を持つようになり、馴染みの美容室のオーナーに相談したところ、その店の常連のりおた君を紹介され、会って話してみると高い熱量にほだされて、イラストの世界で勝負したくなり、ご挨拶にやって来たとのことだった。

それはどう考えても無茶なことである。そこで思いとどまらそうと思いながら、その作品を拝見させてもらうと、なんと素晴らしい描写力で描かれた水彩画だ。さすが、りおた君がけしかけたくなるはずだ。なるほど、こいつはすげえダイヤモンドの原石。しかも、まったくの独学とのこと。聞けば、スタジオジプリの映画が大好きで、子供の頃から時間さえあれば、パンフレットのない場面を動画を止めて描き写すことばかりしていたと打ち明けられた。

いわゆるこれは好きこそものの上手なれ。好きなことを一生懸命に創意工夫した結果、本人が気が付かないうちに非凡なレベルまで達する。純粋に向き合い、ストイックに取り組み、腕を磨けていったのだろう。こうしてコサカダイキ君とは知り合う。美術について右も左もわからないズブの素人だったが、年月を経て大きく開花していくから面白い。ドラマよりもドラマなことが現実に起きるもの。さらに素敵なドラマを期待する。その素直さを活かして飛躍していこう!