美術談義

術作品を観ていると、よくやっていると感心したり、なんとなく違和感を抱いてしまったり、コンセプトがわからないものなどが出てくる。それらの気づきについて、作者へ直接質問をしては、どういう作風を目指しているのかを推し量り、あわせて私なりに良かれと思うことを言う。すると、作者から作品についていろいろなことを答えてもらえたら、次はもっと面白いことが語り合えるかもしれないと、ワクワクしてくる。

私はこのようなキャッチボールを大切にしている。なぜなら、美術家は自分ひとりではなれない。いくら才能や素質があっても、客観的な視点がなければ、先入観や思い込みに陥りやすい。自分で自分の個性はよくわからない。誰かと美術談義や雑談しているうちに、思いもかけないことを発見していく。アイディアやヒントなんて、どこにどうあるのか知れない。可能性を知るためには、外からの刺激が必要になる。

 つまり、美術家は成長するきっかけになるものと出会わなければならない。これまでの自分と同じようにならないように、異なるところからアプローチしていって、新しい感覚や発想を創り出すチャンスを求めること。現状の能力を客観的に知って、一から自分を見つめ直したら、いつもで初心者のように学ぶことができるのだろう。