無駄はない

創作活動には無駄なこともマイナスなこともない。すべての制作に関わる経験が、その人の中に積み重なっていく。美術世界に生きるってことは、実際に観たり、触れたり、つくってたりすること。いろいろことで可能性を試して、個性や自分らしさについて探っていく。その時は、自分とはまったく関係のないことのようでも、そうした経験を糧として活かすならば、どんなことでも無駄にはならない。つくったものがすぐに上手くいかないからといって、それが無駄だと考えることはよくない。

だから、創作活動では無駄を避けて合理性を求め過ぎてはいけない。時間をきちんと管理し、やるべき手順を整理し、最小限度の時間と労力で、最大限の成果が上げられるようにやらなくていい。一般社会で生きるのならいざ知らず、美術家は豊かな感受性が必要になるため、効率化を図った慌ただしい時間すると、想像力を膨らませることができなってしまう。つまり、創作するにはゆっくりとしたり、どうしようか考えたり、心をゆるめてことも大切な時間。創作人生を彩る貴重な時間である。