育成

いくせいいわゆる美術家を育てるためには、子供の頃から養成のカリキュラムに則って育成したしたところで、それほどの効果を得ることは期待できないだろう。なぜなら、美術家の素地となる心を揺り動かして得る感動体験が、限定されたものになってしまうから。

もちろん、なにもしないよりは良いに決まっている。作品制作するためには技術を磨いていく必要性があるので、さまざまなことでのトーレニングは無駄ではない。しっかりしたデッサン力や色彩構成力を習得することは、モチーフを思った通りに活用するに当たっての選択肢を増やしてくれる。

しかし、人生そのものが一番の素材となる美術家にとっては、その人らしく生きるスタイルの独自性が作品に反映される。そこには偶然性が関与していくことで、ドラマチックな化学反応が生まれて、作品の味わいが深まっていくのだ。つまり、在るがままに生きていけば、創作に必要なものが自然と身につく。自分の興味のあること以外でも、学びだと考えて向き合うことで、創造力は幅広く豊かになるはずだ。才能に巡り合いたなら、なんでも前向きに受けとめてみよう。いろんなことをやっていく中でめぐりことが、新しいチャンスや可能性を連れてきてくれるのだ。