団結

かつて養護学校が義務教育になる前、施設整備等が遅れた地域では障害のある生徒に対して、就学猶予の適用がされて、登校しない代わりに教師が週数回ほど家庭を訪れて学習指導した。中野寿子さんも小中学生の頃はご多分に漏れず家の中ばかりで、そこで絵をたしなむ父親が基本的なことを教えて、心躍らせ生きるための武器を与えてくれた。

ちなみに寿子さんは兄弟が多かったので、彼らが持ち帰ってくる話題を聞いては、いろんなことを想像して楽しんだとのこと。あんなことやこんなことを面白がり、教室にいなくてもクラスメイトと会話するような気分を味わっていた。やはり、どんな時でも温かく交われる場所があることは素敵だ。それが家庭であり、家族というものであって、そこに自分の居場所があるからこそ、前向きに生きていく勇気が湧いてくる。

こうやって始まった絵を描いていく人生。チーム寿子はみんなの夢でもあるから、共に励まし合いながら努力して、試練を乗り越えていった。だから、いつご家族にお会いしても本当に仲がいい。一致団結して結び合った固い絆は、目には見えないけれど、肌で感じることができる熱いものだ。※画像は40年前の寿子さん初個展で写したものです。