夢への架け橋

ユダヤの教えに「自分の言葉を、自分が渡る橋だと思いなさい。しっかりとした橋でなければ、貴方は渡らないでしょうから」がある。

この教えを美術家に当てはめれば、「言葉」ではなく「作品」になるだろう。とにかく、その作品に観るべきものがあったら、美的感覚を刺激してもらおうと、自然と作品の周りに人が集まってくる。素敵だと思う作品の魅力を触れたくて気持ちが抑えられなくなる。だからこそ、個性豊かで見ごたえ充分の作品を制作する必要がある。観る人の好奇心を掻き立てることを目指し、創作への情熱を持ち続けて努力するしかない。

ところで、このたびの中野寿子さんの個展には、美術家の来場者数が今までで一番多く、昨年度の県美展で優秀賞受賞の反響の大きさを感じている。かつて生前の吉村芳生さんに評価してもらえたが、控えめに活動していたこともあって、注目されることはなかった。やはり、県美展は美術家にとっての登竜門。大賞でなくても実のあるものは一種の磁力を有す。そして、本分をまっとうする人はいつか報われることが証明された。