ランキング

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美術家という職業にランキング付けは似合わない。なぜなら、表層的には同じように思える作品も、人それぞれ違う個性が反映されている。個人的な価値意識が強く表現されるため、序列をつくることはふさわしくない。スポーツのように勝敗や記録などのわかりやすい評価基準がないため、ランキング付けすること自体に馴染む対象ではない。「みんなちがって、みんないい」 という金子みすゞさんの詩の一節ように、いろんな価値観があることを尊重するからこそ、豊かさがあって面白味が生まれてくる。唯一無二の存在を求めて独創性を活かす、究極の個人事業主だと言えよう。

だから、美術家は誰かと比較したところで意味がない。例えば、楽しめる作品とつまらない作品、その中間に属する作品がある。これらすべて個人の嗜好によって甲乙丙の付け方が異なってくる。その人の1番が評価基準になるため、作品の優劣は個人の感覚で決められている。いわゆる私的ランキングはそれなりの根拠によってできるが、しょせん個人の好き嫌いによって決める以上、その精度の正確さはたかが知れている。そのような気まぐれな観方や考え方に振り回されてしまえば、いつまでも自分の価値判断に自信を持つことができない。自分自身の価値観を育んでいかなければ、他人の主観に依存してしまい、押し付けられたもの中で埋没するだろう。我思うゆえにわれあり!自分の主観を信じられるようになるまで、自己を分析して個性的な指標をつくっていこう!