美しいって

ゴッホが残した「絵になる風景を探すな。よく見ると、どんな自然でも美しい」という名言がある。

先月、山口市ニューヨークタイムズの「2024年に行くべき52カ所」の3番目に選ばれて以来、街には有難いやら嬉しいやら照れくさいやら、でも本当にどう受け止めていいやらわからない空気が漂っている。それはまるで急に憧れの人に振り向かれたように、喜びのあまり顔がにやけそうなところを我慢して、無理矢理冷静さを装っている感じで、素直にドヤ顔しないで腹で笑おうとするから西の京だと言われるのかもしれない。

いずれにしても、私たちが当たり前だと思っている田舎の景色は、異国の人にしてみれば、ここでしか味わえない豊かさがあって美しいもの。言い換えれば、生まれ育った環境が異なったら、必然的に文化も違ってくるため、私たちが見落としたことに魅力を感じる。つまり、どんな人でも同じ場所にいて慣れ親しんでしまうと感動がなくなっていく。ことわざの灯台下暗しのように、身近なことには気付かなくなりやすいのだろう。