人間万事塞翁が馬

ことわざの「人間万事塞翁が馬」とは、将来のことは予測できないから、幸せなことが不幸になったり、不幸なことが幸せになったりと、いつ転じるのかはわからない。そのゆえ、ものごとの結果に対して一喜一憂や右往左往してはいけないという意味である。

例えば、真っすぐに大きく伸びた木は、とても見映えも良くて立派だが、材木としてすぐに役立つから切り倒されていく。それとは逆に曲がった木は、使いものにならないと思われるので、巨木になるまで生長することができる。要するにパッと見た感じは短所に思えることが、実のところ長所として活かしていけるのだ。

このことは桜の花だって同じのこと。ついつい「今年の桜はこれまで一番」と口走るのは、今この瞬間に精一杯生きていることの現れだ。咲くにしろ、散るにしろ、瞬く間の出来事に心を奮い立たせて、バイタリティさを掻き立ててくれる。だから、たった一輪の桜の花は短いけれど、そこに永遠を感じてしまうこともあるのだろう。