初心忘るべからず

「是非の初心忘るべからず。時事の初心忘るべからず。老後の初心忘るべからず」という世阿弥の名言がある。

これは始めたばかりで未熟だった芸を忘れず、それを判断基準にして技量を磨いて向上させていく。また、その年齢にふさわしい芸にするために、これまで体験していないことに挑んで、新しいことへの緊張感を忘れずにトライしていこう。そして、長きにわたり取り組んできたことでも、その老年期になって初めて行うことだと自覚して、ベテランだから大丈夫だとか、もう極めていることだと自惚れていけないという意味である。

昨日、今月個展開催のレ昇るさんが参上。万全を期して早めに作品を持ち込んでいただく。とにかく、先月末まで堅気の生活をしていた方が、いきなり美術家デビューなんて、前代未聞の出来事だろう。ただし、運がいい!なぜなら、今は江戸から明治になった頃より世の中が変わったから。要するにみんな一から新しくやるしかない。御年65歳の正真正銘のルーキーにとって、リセットせずに創作できることは武器になるだろう。