赤ちゃんのように

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先週のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」で、ヒロインがラジオ英語講座を聴いている場面があった。それはラジオから「英語会話のことでありますが、皆さんは小さい赤ちゃんがだんだん少しずつ話ができるようになる様子を、よく注意してご覧になったことがおありでしょうか?別に無理するわけでもなければ、特に努力勉強するわけでもありません。早く言葉を習って、1つ商売しようかという赤ちゃんはありませんから、そこは悠長なものです。ところが、大きくなってから、さあ、英語を習おうということになると、なかなかそう楽にはいかないんですね。非常に勉強し、努力してみてもなかなかものにはなりません。ここは一つ、恥をしのんで、赤ちゃんにその秘けつを聞いてみましょう」という講師の語りが流れてきた。
私はこのシーンを見て、『英語会話』を『お絵描き』に置き換えたら、美術のこととしても十分通じるように思った。たしかに赤ちゃんでは絵はまだまだ描けないけど、少し大きくなれば自由奔放に描くことを楽しむ。かのピカソも「子供は誰でも芸術家だ。問題は大人になっても芸術家でいられるかどうかだ」と言い、他者を気にせずに夢中になって描くがゆえに、こういうふうにすれば面白いとか、こんなふうにやれば上手くいくんだなど、したたかに計算してもできない魅力と個性を称賛していた。つまり、無理に背伸びせずに素直であれ。この心構えさえあれば、絵を描くことは俄然楽しくなるいつも心を真っ白にして、あるがままを受け入れば、いくらでも楽しめることがある。人は誰でも好奇心を持っているから、先入観を捨ててものごとに触れれば、なぜなぜセンサーが動き出して、自然に心で感じているものを表現できるだろう。だからこそ、「ようやく子どものような絵が描けるようになった」目指すのだ。もちろん、これもピカソの有名な言葉である。