平凡を非凡に努める

郷土の画家 香月泰男先生が残した「私は毎年のことだが、今年も庭の椿を描いている。ただ椿の花の咲いているのが眺められるしあわせのしるしとして描いている」という名言がある。

人はそれぞれ、自分のなかに大切なものを持っている。それは生まれつき備わっているものもあれば、生きていくなかで育まれるものもある。いずれにしても大切なものを見い出し、尊いものだと自覚して生きていくこと。おのおのの人生にある小さな幸せを掘り起こし、自分にしか味わえないことだと自覚できれば、充実感を持って生きることができるだろう。

いわゆるリアリティーのある世界とは、眼に見えたそのままではない。心で感じているかどうかで決まってくる。身の回りをやさしく見つめてやれば、たくさんの美しいものを発見できる。つまり、人生を複雑に考えることはない。自分らしく生きていることが大切なんだ。頑なに自分の世界を追求して、平凡を非凡に努めていくこと。独自の道を歩んで行けばいいのだ。