素志

昨日の午後、ワイルドな81歳のアーティスト 井岡義朋さんが登場。とたんにギャラリーの雰囲気は明るくなってしまった。さすがチャレンジャー精神を失わない人のオーラは若々しい。美術の細々としたことにとらわれず、何があって自分らしいスタイルにこだわり、志に沿って行動して生きているので、情熱の炎が背中から浮かび上がっている。

そんな井岡さんは、美大へ入学してすぐに敬愛する恩師の講義で思い切り激励されたとのこと。それは「ここに集まった連中はみんな大した才能を持っていない。そんじょそこらの努力で美術家になれるレベルではない。いつまで経っても認めてもらえないなんて普通だ。それゆえ才能や失敗なんて気にしないで突き進め」という熱い言葉だった。

いわゆる初志貫徹なんて言うけれど、まさにスタート地点で、その後の運命を決める出会いがあった。ひとたび自分がやるべきことだと決めたら、事あるごとにいちいち迷ってはいけない。ただひたすら絵を描いていく。だからこそ、約半世紀をかかって県美展で大賞を受賞できたのだろう。あらためて日々精進したことが報われたと敬服した。