等身大

香月泰男画伯が残した「毎日の食事のように仕事をしよう。殊更(ことさら)求めずに手近な、容易に手に入る材料で料理して食べよう」という名言がある。

この言葉は仕事の種類に上とか下とか言うものはない。ありふれた食事、平凡な1日の中に本当の喜びがあるように、大事なのはその仕事を通じて自分らしく生きられるかどうか。ある目標や課題を自らの試行錯誤と創意工夫の結果の善し悪しに関わらず、最善尽くしてやり切ったことで、肯定的な気持ちになれるようにこだわって生きればいい。虚勢なんて張るな。

つまり、芸術家とは自分らしい個性で作品制作する人のこと。他者とは違う独自性のある表現によって認められた職業。ただし、一度才能を確立したとしても、半永久的に通用するわけではない。日々に食事をするように新しいことを吸収して、いつも分自身であり続けていく。特別なものは要らない。しっかりと日々を噛みしめて食べれば、どんなことでも栄養になってくる。今できることだけでやれば十分だという意味だろう。