徳を積む

「殻を破る」という言葉は、これまでの考えや習慣、築き上げてきた方法や世界などを壊して、新しい可能性や視点を切り拓いて変えていくこと。それ故、自分の殻を破るとは、何かにチャレンジをしたり、それに向かっての第一歩を踏み出し、一心不乱に打ち込んでいたら、いつの間にか自分の能力が成長して、これまでの限界を超えるを言う。

このたび「やまぐち生まれの4人展」に出展した吉田朱里さんは、長年かかってできなかった殻をあっさりと破る。生まれ育った街で初の大舞台というシュツエーションに、自分を追い詰めて並ではない潜在能力を発揮することができたのだ。無理だと諦めて閉じこもっていた殼がパチンと弾けて、中から勢いよく素敵な創造力が飛び出してきた。

しかも初めての出産、初めての育児と、未知で不安なことだらけ。創作に集中したいのに思う通りにできない日々。だから、力を合わせた。家族にいろいろ助けられ、支えられながら進める。小さな力が積もりに積もって、才能を良い方向に動かしていく。互いに重なり合い、交差してできあがったものは、徳が積まれて豊かな世界を創り出す。