僕は監督時代、それぞれの選手の長所を見るようにしていました。短所ばかり見ていると、
「こいつ、使えないなー」と思ってしまいますが、よいところを見ている、「なんとか使い物に
なるかな」と考えられるようになる。
すると、褒める回数も増えていくので、選手のほうもやる気が出てくるんです。
試合前にも必ず、「ここにいる選手はみんな、必ずいいところを持っている。試合ではその
長所を生かせ」といっていました。
たとえば、日本代表で長年キャプテンを務めた中澤（祐二）というセンターバックがいるの
ですが、彼は相手をつぶすのが得意なんです。ところが、ちょっといいパスを出そうと色気を
出すと、とたんにディフェンスまでだめになる。そうじゃなくて、「オレは今日、こいつらを徹底的
につぶしてやる！」というふうにガンガンやってくると、素晴らしいパスも自然と出るんです。
チーム全体でも、長所をどんどん押し出していくと、自然と欠点まで消えることがあります。
逆に、せっかく連勝して波に乗っているのに、あえて欠点を修正し完璧を目指そうとして、
ガタガタガタガタってチームが崩れていく経験を何度もしました。
得意なことを生かす。不得意なことをどうするか？
高校サッカーは得意なことを生かすチームの方が良いのでしょう。
欠点を克服することよりも伸びるものを伸ばしていく。
これはサッカーに限らず、なんでも個性を伸ばすのなら長所からですね。
