初心

イメージ 1

美術をやっていこうという人は、「自分は天才なのだ!」と思う瞬間に支えられている。これが一般社会にいる人なら、そこまで高く自己評価することはないだろうが、美術は想像力の豊かな人がするべきもの。故に小さな成功体験は大きな起爆剤になってしまう。ちょっとした弾みでそう考えるのが普通のことなのだ。昨日、吉村大星君との美術談義の中で、かつて彼の父親、故・吉村芳生さんが自信作で県美展へ出展したが、大賞を逃してしまった時の話題になった。それなりにキャリアがあって、結果も次点の優秀賞受賞だった。それでも落ち込んでいたとのこと。しかし、これが吉村さんの創作意欲に火をつけた。おそらく何が足らなかったのかをしっかりと反省した。翌年、戦術的なことより自分らしい作品を創作する。審判は神のみぞ知ると開き直って、超絶技巧と言われた鉛筆画の創作に集中した。その結果、県美への出展作は3度目の大賞に輝く。過去のいろいろな経験に縛られずに、今できることに努力したことが実ったのだ。ここから吉村さんの快進撃は始まっていく。晩年、大きな評価を得るための道が開けたのだ。ずっと「自分は天才なのだ!」と思い続け、ついに本物になる日がやって来た。それは初心忘れるべからずだ!美術家になるために最高の教訓なのかもしれない。

■HEART2017関連企画 県美展界隈 vol.2 美術五傑展 臼杵万理実、白藤さえ子、末永史尚、平井槙、山口功 2017年9月29日(金)~10月8日(日)11:00-19:00(ただし9月30日(土)は末永史尚美術研修会のため18:00に閉店) 定休日 10月4日(水)