質実剛健

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山口県美術展の特色の1つは公開審査会。一般的に公募展の審査は非公開であるのに反し、オープンなスタイルで公正明大さを追究にしていく。また、立ち合い人となる傍聴者は、事前に申し込めば誰でも参加が可能。出展者や鑑賞者などがリアルタイムで、審査員の一挙手一投足に息を呑んで見守れるのだ。裏を返して言ったら審査員は厳しい視線を浴びることなる。ただし、このプレッシャーが質の高い審査に繋がり、県美展のレベルを押し上げていく。そう、県美展を活性化させる大事な起爆剤なのだ。これからもこのまま正々堂々とした硬派な審査会であることを願う。
そんな審査を突破した作品が一堂に展示される県美展。このたびも開会式直後に拝見させていただく。どうしても親しい美術家の作品が気になるため、取りあえずはそれを目当てに足早に動き回っていると、すっと目に入ってくる1枚の日本画と出合う。これはおそらく審査員のハートをスマッシュしたはずだ。丁寧に美しく顔料で描いて銀箔を張って装飾した画面。伝統的でもありながら新しい雰囲気を醸し出し、品よく静かだけれども存在感は十分に伝わってくる。そこで初対面の作者にあれこれ教えてもらう。聴くところによると県美展は初挑戦。この土地に祖父が住んでいたため、山口には愛着があるとのこと。大学で助手をしながら創作活動を展開中。ひと言ひと言に美術への情熱を感じ、大きな夢を持った人物であった。本当に良い人と巡り会った。彼の活躍を微力ながら応援していきたい。優秀賞を受賞した大庭孝文君の「Walking in Iandscapes」(景観を歩く)。ぜひ会場でご覧ください!
■第72回山口県美術展覧会 2019年2月14日(木)~3月3日(日)9:00-17:00(入館は16:30まで) 休館 月曜日 観覧料 一般500円、学生400円、70歳以上・18歳以下・障害者料 山口県立美術館 山口市亀山町3-1http://www.yma-web.jp/