初心忘るべからず

イメージ 1

美術本来の喜びや楽しみと言えば、自分なりに何かをつくることだろう。上手くでき上がるかどうかはさておき、つくること自体に意味があって、そして、完成した達成感を味わうためにある。しかしながら、例えばもし職業として美術に携わりたいのなら、これを仕上げたらいくらになるとか、観た人たちが満足してもらうなど、客観的なことばかり気になりやすい。どうしたら評価が高くなるのかに心が奪われ、いつの間にやら初心を忘れ去って、経済的なスタンスで見つめてしまう。要するに美術をやることへの動機が曖昧になり、儲かることへのプロセスを充実させようとする。美術を何のためにやりたいと思ったのか、基本中の基本がわからなくなって袋小路に陥っていく。いつしか本末転倒になって目的を見失い、美術が持つ面白さに背を向けてしまうのだ。
つまり経済社会とは一番遠くにあるはずの美術を心得違いしてはいけない。この原理は薬を販売することと同じで、患者さんの病気を治すことが目的の薬を、どこでどうはき違えたのか利益重視になると、売上第一主義で薬害を引き起こす可能性に繋がる。如何にも必要なものだと言って、気が弱っている人に買わせるのだ。こうような独りよがりにならないために、いつまでもスタート地点にある純粋な心を思い出していこう。美術は自分の人生を素晴らしくするためにある。一生懸命にやっても花はさかないかもしれないが、一生懸命やったら土地は間違いなく肥えていく。このようには神様も仏様もいるから心配することはない。いつまでも美術をやることへの志を燃やせるように、美術が好きである気持ちを大切にしよう!
■稲田絵美 個展 いつの時代も 2019年4月28日(日)~5月5日(日) 11:00-19:00 定休5月1日(水)