覚悟

f:id:gallerynakano:20191016235336j:plain


10代の頃、自分がそれなりに真面目に描いた絵を褒められたとしよう。だったらプロの画家になってやろうと決心して走り出す。このことはどこにでもある、ありきたりな若者の行動と言えるもの。これをことわざで例えるのなら「若気の至り」だ。年齢が若くて血気盛んの時にやるため、無分別な行いをしてしまうこと。何をどう頑張ったらいいのかわからない時代。だけど、とにかく頑張ったら未来には無限の可能性がある。新たな出会いやチャンスが待っているはず。世の中の経験の少なさを武器に恥じることなくチャレンジしていく。そう、やる気は若くて溌剌しているからこそ、自然発生的に湧き上がってくる。自分の可能性を素直に信じられること。実際には可能性があるかもしれないし、まったくないかもしれない。それでも美術の世界で生きたいと願うのなら、若者らしく針の穴の可能性を信じることで、意外にも一番ベストな答えになるだろう。

つまり自分自身の力で頑張ろうと思うこと。このような覚悟を身を持って知ることで、美術で生きるための精神力は磨かれていく。どんなに厳しい現実でもドラマの一場面と捉えて、劇的なラストシーンのためにあるのだと信じ、前向きに受けとめることで活路を見い出していける。他の人から見れば馬鹿馬鹿しい生き方と言われてもいい。自分らしい価値観を持って生きていくこと。独創的な表現力を高めるために、様々な美術を自分なりに吟味して、ひとつの方向へ凝縮していくのだ。どこまでも若者らしく有意義な創作を求めて、安易に妥協することのなく未知の世界へ進んでいく。たくさんの人との出会うことによって、自分が知らないことを吹き込まれて、エネルギッシュに潜在能力が刺激されて動くのだ。美術家はいつまでも感性が若くなければならない。若者に負けない若さが必要になる。どうしたら若い感性のまま生きられるのか?答えは簡単だ。いつまでも美術が生きがいであればいいのだ!

■中野 寿子 イラスト展 2019年10月11日(金)~27日(日) 11:00-18:00 お休み 10月15日(火)、16日(水)、17日(木)、22日(火)、23日(水)