24時間

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毎年夏に放映される「24時間テレビ」。私が中2だった頃に始まった。当時、通常の日のテレビ放送時間は、深夜から早朝までは休止になって全く映らなくなる。そのためテレビ界の常識を打ち破るような革命的な番組の誕生に衝撃を感じた。そう、今現在のようにテレビどころかネットもあって、24時間なんでも手軽に視聴できる時代と違い、24時間ぶっ通しでテレビが視聴できるなんて、あまりにも画期的なことで興奮させられたのだ。おそらく、この時に味わった高揚感を、令和の若者たちに熱く語ったとしても、簡単には理解してもらえないだろう。「それってなんすか?」と言われて取りつく島もない。まあ、それはそれでいい。このようなギャップは楽しんだ方がいい。それぞれの文化圏が違うからバランスがとれていく。さまざまな価値観が存在するからこそ面白くなる。すなわち、これでいいのだ!
そう言えば、この夏に24時間ぶっ通しで海を見続けていた美術家がいる。7月上旬に浜辺に仮設の陣を構えて海と向き合っていたという。そこで何をしていたのか?その答えは打ち寄せてくる波をひたすら数えていただけ。大波小波を丁寧に数えてはノートに回数を書き込んで記録した。私はこの逸話を教えてもらって、彼の変わらない人間性を喜んだ。自然の中で出会った素材やモチーフをシンプルな手法で表現していく。やさしく包み込む心がなかったら創ることはできない。どんなものにも魂のあることを肯定し、みんなで共存しようとするあたたかさを感じた。会場に展示された多種多様な波の絵は、24時間見続けたからこそ波の音が聴こえてきそうだ。やはり彼らしい研ぎ澄まされた感性がいい。本当に愛がある。このままこのままの良さを貫いていきましょう!
■保手濱 拓 時をなぞろ 2019年8月21日(水)~9月1日(日) 9:00-18:00(最終日は17:00まで) 休館 8月26日(月) C・S赤れんが 山口市中河原5-12