「歴史は繰り返す」とは、古代ローマ時代の歴史家が言った言葉に由来する。その意味は、どんなに文明が発達したとしても、どういう時代になったとしても、人間の本質はまったく変わることはない。そのため過去にあった様々な出来事は、未来になっても似たような過程をたどり、再び同じことが起きると考えた。過去に起きたことは再び起こりやすい。つまり過去にあったことを手掛かりにし、今の時代に活かせるヒントだと考えて学べば、新しいことを切り拓くための知恵として役立つ。そう、歴史を学び知ることで人生を充実する可能性は高くなるはずだ。
昨日、40数年前の作品を熱心に観つめて、思いっきり感動している若者がいた。それは彼女の親が産まれて間もない頃の昭和文化が色濃く感じられるものだった。だのに時代の壁をいとも簡単にポンと飛び越え、作品のエッセンスだけを的確に捉えて、自らを奮い立たせるエネルギーを感じていた。こんなに面白いものを観たことはない。心の奥までビビッと電流が走ってきた。この衝撃は上手く説明できないけど、これが鑑賞する人が得られる快感なのかもしれない。いつも美術に熱心に生きているからこそ、素直な心で良さを受けとめてリスペクトしていた。謙虚な心で作者の思いに耳をかたむければ、自然と創作することへの意識が高まって、自分自身の成長へのお手本だと感じるのだ。素敵だと思うから素敵なものを創りたくなる。そのような喜びを感じられる人は、いつの日か他の人を喜ばせる人になるのだろう。
■中野 寿子 イラスト展 2019年10月11日（金）～27日（日） 11:00-18:00 お休み 10月22日（火）、23日（水）
