作品の自由訳

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美術鑑賞後に生まれてくる感想のことを、わかりやすく例えるとしたら、鑑賞者による作品の自由訳だ。その人らしい言葉で心で感じたまま、素直に言葉にしていくことが大切になる。ただし、作品のコンセプト(骨格となる発想や観点)から逸脱しないように気を付けること。また、観たまんまにだらだらと表層的なものだけを語ってもいけない。観察力をフルに働かせて、自分なりに噛み砕いて、できる限り単純な言葉にして、相手に伝えようと努力することだ。

つまり人それぞれ違う感性のアンテナに向かって発信できるボキャブラリーのストックが必要になる。そのためには美術以外の文化にも幅広く興味を持って関わってみよう。最初はかじった程度から始めて、段々と自分らしいものを見つけ出して、個性的ものになるように磨いていく。自分の言語として定着するまで、何度も何度も試すことで育んでいけるだろう。美術を豊かなものとして楽しむために、その持ち味を活かすための言葉を増やして語っていこう!

■小さな祈り 佐々木範子展 2019年11月15日(金)~12月1日(日) 11:00-18:00