時代

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兎にも角にもの年月が過ぎてしまうのが早くなってきた。ほんのちょっとよそ見をしている内に、あっという間に新しいことに移り変わって、心地良い場所で立ち止まってくれることはない。ただ、すたすたと急ぎ足で歩いていって、ぼんやりしている人を置いてけぼりにする。だからといって早足で並走すれば良いわけではない。その時代の流行に乗っかっているとは、感性を無理矢理に合わせているだけ。自分の個性の成熟とは関係ないこと。そう、「先端的な感覚」という言葉に振り回されずに、しっかりと足元を見つめて進むこと。例えそれで時代おくれと言われてもいい。流行と呼ばれる集団催眠の状態から逸脱し、自分の素足で美術のフィールドに立ってみよう。

つまり美術家とは流行っているものをそのままやる職業ではない。流行っているものに影響を受けながら、それでも自分らしい世界観を求めていくことが大切だ。それが今すぐに評価されなくても慌ててはいけない。どこまでもマイペースでやり続けていこう。自分の信念を貫いていくからこそ、奇想天外な表現が生まれてくる。創造力は様々なことを体感した延長線上にあるもの。まずは何かを体感しなければ生まれないから、一に二にも自己を深められるように努力しよう。自分の素晴らしさに気付けるように、とことん自分にしかない個性にこだわって、堂々とらしさを発揮していきましょう!

ところで、今日で吉村芳生さんが天へ旅立ってから丸々6年。いわゆる七回忌を迎えます。若い日に県美展へ挑戦して評価され、そして、再び人生の岐路で県美展で評価されて、晩年は飛ぶ鳥を落とす勢いで大活躍をしました。その時に評価されたものは初期の頃から取り組んでいた鉛筆画。最初から大きな武器を持っていたのに、やはりそれが熟すまでには年月が必要だったのでしょう。本当に長い年月に渡ってお付き合いしたため、多くのことを教えてもらい、また、いろんなことを学ばせていただきました。今も冷めない熱い言葉を胸に頑張ります!どうか見守っていてください!合掌