日新月歩

f:id:gallerynakano:20191225001249j:plain先日、若手漫才師の日本一を決める「M-1グランプリ」が放映される。お笑い芸人の登竜門で、これまで数々の人材を輩出する。私は子供の頃から阪神ファンが高じて、関西のコメディーにも興味を持ち、以来、この手の番組はワクワクしながら見ている。自分なりにあーだこーだとネタを分析し、それぞれについて勝手に採点しては楽しむ。ただし、この日のM-1は衝撃的なネタのオンパレード。やっとこすっとこついていくが精一杯だった。それは例年なら上位進出する芸人に代わって、あまり馴染みのない芸人が勝ち残ったこと。しかも新しいネタが次々に登場するため、予想外のネタの展開に揺さぶられてしまう。今までになかった切り口の掛け合いが目立ち、だんだんとクセの強さに酔わされるなど、それらすべてが新鮮過ぎてびっくりさせられたのだ。

ちなみに栄えある1位になったミルクボーイは禅問答のネタ。はたから見たら何を言っているのか分からないことを繰り返す。同じようなネタは昭和の大御所にもいたけれど、当時のようにノンビリとしたものではない。スピードで押しまくったのは現代人が飽きやすいから。そう、辛抱強く何かに関わることのできない、瞬間最大風速にすぐに左右されてしまう、 浮き草のように漂って定まらない、そんな気質の人たちを理解してネタだ。また、3位になった ぺこぱ はギャグ漫画っぽくて好感を持った。如何にも滑稽さが漂うビジュアル(見た感じ)を使って、さらにシュールな感覚を突き詰めて、ネタがどうなるのかが読めなくって面白かった。どこか後味は悪いものを見続けたら、毒が回っておかしくなった感じ。毒々しいこの時代にあったネタだと思った。

それはさておき、美術の世界も同じくらい新しくなった。美術界はM-1のように日進月歩している。昨日、若者と大いに夢を語り合う。そして、やってやろうぜ!とエールを送った。彼は絵を描くための申し子だ。いつも自発的に美術と向き合っている。その覚悟のまま努力していこう。私たちの知らない角度を教えてくれ!