セロからイチ

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美術家は、自分の才能を発揮するための表現技法を探し出すというより、これまでなかったものを育んだり創り出すことが大切だ。どこかに存在している素材や表現手段を選び出し、オリジナルを独自解釈で再構成したり、模倣を通じて異質なものに変えたところで、オリジナリティーの高い作品だと言われない。そもそもセンスというのは美術への理解から生まれてくる。およそ美術の基本的なことを理解しないうちに、センスを活かそうとすることほど不思議なことはない。

つまり、0から1を創る仕事。自分ひとりで考えてゼロから何かを創り出し、世の中に新しい価値観や概念を創造して提供する。常に個性的なイメージを発想していって、それを目に見えるカタチにする創造力を活かす。何もないところから何かを創り出すには、創意工夫と試行錯誤を積み重ねること。よくわからないものであっても、どこまでもこだわっていけば、そのうちに自分らしい才能が掴めてくる。決して日が当たらなくても、作品がなかなか評価されなくても、ずっと継続してやめないでいることだ。

ちなみに1を10にするとは、これまでにあったものをもとに、新しいものに創り出す力のこと。新しいものを創り出すという点では同じように思えるけど、その違いはある美術家が創作した作品と同じようなやり方で、別の美術家が作品の細かい部分を改良したり、色彩やサイズによる表現を修正したりして、より完璧なものに仕上げていくことだ。いわゆる職人的な仕事のようなもので、これはこれで必要性を感じるが、美味しいところだけをいただいていると、その元ネタがバレた時にSNSなどで炎上してしまうから、よく勉強してから引用しなければならない。マナーとエチケットに気を付けよう。