愚直

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昭和末期に起きたバブル景気。株式や不動産を中心にした資産取引が活発化して、経済が過度に膨れ上がって高騰していくばかり。その頃の美術界は未来のことを楽観的に見ている人たちが多かった。なぜなら将来の展望が描きやすくて、真面目にこつこつとひたすら頑張っていれば、そこそこの評価や地位を得られるような雰囲気が漂い、美術家として上手くいけそうな幻想が蔓延していた。自分が本気で願ったことは実現するはずだと思い込み、また、美術ファンや鑑賞者たちもドラマを信じ、いずれ作品の価値が上がることを前提に、美術作品を買い求めることに夢中になっていった。

しかし、このような景気は長続きしなかった。バブル景気崩壊後からじわりじわりと経済は下がり始め、作品を取り巻く環境は年々厳しくなって、華やかな市場ではなくなりつつある。美術品を本当に愛している人ではなく、投機目的で買い漁った人が去っていったのだ。この頃から美術界は国際化が加速して、海外から多くの現代美術の作品が観られるようになった。さらにネット文化も普及し、美術市場は一変していく。よくも悪くも美術情報は増えて、人々の美術に対する考え方や愛好心は大きく異なってくる。

そんなこんなの出来事が次々に起こりながら現在に至っていく。果たしてこれから先には、どんな美術界が待っているのか?そのことは誰にもわからない。だから我こそは次世代の主役になれる・・・と、大志を抱いて挑戦できるのだろう。そう、愚直さこそが美術家にとって最大の武器になる。人にその様を笑われようが、馬鹿にされようとも、自ら信じた道を歩んでいけばいい。努力すれば必ず進歩する。自分の理想を高いところにおいて、少しでも近づけるように精進していこう!