センスって

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先週、初めてお会いした方から「どのような美術を観ていけば、センスはよくなるのでしょうか」と質問された。おお~、これは正直なところ、かなりハードルの高いお題だ。例えば画家と呼ばれる人が何かをモチーフに絵を描いたら、その表現の仕方は人によってバラバラになる。こうすれば絵として成立するという観念の元、それぞれが枠をはみ出さずに自由に描いていくのだ。このように多種多彩な個性から創られた作品を、なんでもかんでも手当り次第観たろしても、様々な価値観に翻弄されるだけだろう。そう、合理的に美術センスを向上させることはできない。むしろ美術界はあまりにも広範囲なため、いろいろな作品を地道に1つずつ学んでいくこと。とてもデリケートなものをよくするのだから、一朝一夕には得られない現実を受け入れるのだ。

つまり昨日より今日の方がセンスがよくなれると信じて生きていこう。もちろん、漠然とそう思っているだけは何にも変わらない。ゴッホの作品に触れて楽しもうやピカソの作品について考えようなど、とにかくその日その日に自分の心の意識を高めていって、センスを良くしたい気持ちを育んでいくのだ。本当の意味で美術センスをよくするとは、美術に対する好奇心を活性化させ、よくわからないものを想像で図る能力を身に付けること。自分らしく世間一般の常識に惑わされずに、作品を在るがままに見つめて感じられるように、素直な目で純粋になれることが大切なのでしょう。

いわゆる何もにも捉われない達観した感覚になれたら、面白いことそうでないことをすべて受け入れて、どっちであっても楽しもうと根性が生まれてくる。私の目の前に現れてくることはずべて必要なことだという、人生の本質がわかることが美術センスの良さと比例してくるはずだ。なんて、こんな熱い思いを伝えたかったけど、いきなりこれではハード過ぎると考えて、「千里の道も一歩からです。こつこつ美術と付き合って頑張ってください」と、無難に答えてしまいました。