未来への足がかあり

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戦後まもなく在野の美術家たちによって産声をあげた山口県美術展覧会。そのためストイックで理想的な美術展になることを目標にする。どのような運営方法を取り入れたら素晴らしい美術家が誕生するのだろうか?運営委員会ではさながら幕末の志士たちが集まり、命を懸けて熱く語り合ったように、激論の末に最強の公募展になることを目指した。また、このただならぬ熱気にあおられて、出展する美術家も評価する審査員も影響されていく。すべての人の並々ならぬ思い入れは、計測不能の大きなエネルギーになって、数々の才能を発掘することに寄与する。県美展から個性豊かな美術家を全国へ送り出し、そして、最良の展覧会になれるように創意工夫を繰り返す。未来を切り拓きたい意志があれば結果はついてくる。常に次なる完成に向けて努力したらなんとかなる。独自能力を発揮すればパイオニアになれると誰もが信じていた。

しかし、今の時代はオンリーワンだと確信できることが難しくなったように思う。未開の地を発展途上させていく勢いはなくなり、どこかで見たような既成の雰囲気が漂うものが増えてきた。これまで誰も踏み入れたことのない領域が数少なくなったからだ。あらゆることが年月とともに合理的な手段が開発されている。さらにビックデータを解析する人工知能を進歩して、様々な情報を効率よく入手できるようになった。裏を返せば、白紙状態からスタートしなくてよくなったため、基本的なトレーニングを飛び越えて、自分の長所がよくわからならいまま、だらだらと流されやすくなっている。だから美術を一から学ぶ気持ちが大切だ。県美展の結果に一喜一憂しないで、可能性を追求するための物差しにして、美術の思い込みや偏見から脱却し、自分らしく自由になれるように心掛ける。自分らしい感性を信じて、独創のある表現になるように努力しよう!

■HEART2019の関連企画 県美界隈展 『花』、Y氏とともに 2020年2月13日(木)~3月1日(日) 11:00-18:00 火水定休