不屈のしし座

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美術家になりたいのなら万人に受け入れられる美術を目指してはいけない。なぜなら皆々が素敵だと感じてしまうものとは、たいていの場合は既に世の中に定着している表現に近いからだ。流行っているものに触発されて、美術家を目指していくのはいいこと。だけど、それをお手本にして同じようにやっても、他人の創造した世界に染まっていくだけ。自分らしい個性だと言えるようなものではない。その人しか持ちえないものが、これから発展させていくことが大切だ。例え未熟なレベルであったしても決して悪いわけではない。まずは自分自身の才能を信じて生きていこうと覚悟すること。どんな厳しい現実に直面しても逃げないことで人間力は豊かになる。苦しい経験こそがたくましく育ててくれる最良の師なのだ。ピンチなチャンスの始まりになのだ。

11年前、「卒業制作展を見に来てください」と言われたのが初めての会話だった。それまでは存在は気が付いていたものの会釈する程度。もっと若いと思っていたので、4年生と知って驚いてしまった。そんな彼女はとてもネガティブだった。それは美術へ馬鹿正直に真正面から立ち向かい、擦り切れてボロボロになって落ち込んでいたのだ。ある意味、勇敢な若者だと称賛すべき状態。顔に似合わずガッツがあって、美術への本気さが伝わってきた。おそらく足らないものは知識と技術。ゆるくても自分で創造していく力と、新しいことへ挑戦する意欲は十分にある。こうして始まったマリミンとの冒険。ハッキリ言って私の方が振り回されている。おかげで心技体ともに鍛えられ、多くの若者と付き合えられるようになった。もしかしたら彼女なくして、今日の私はないのかもしれない。そういう意味ではお礼参り…でなく、恩返しをしなくちゃなりませんね(笑)。4月の個展を楽しみにしている。これからも頑張っていきましょう!

■HEART2019の関連企画 県美界隈展 『花』、Y氏とともに 2020年2月13日(木)~3月1日(日) 11:00-18:00 火水定休