美術を全身で感じる

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高校時代、美大へ進んで学ぼうと決めた人は発見する。美術の世界は思ったよりも大きくて、ちょっとやそっとの腕じゃ太刀打ちできないことを。また、これまでやってきたことだけでは、どうやってもやりくりできないことを。そして、漠然と挫折していくような危機感に直面する。いずれにしても評価が相対的から絶対的に代わることで、義務教育の美術とは異なってくる。先生によって良し悪しが決められるのではない。様々な人たちの視点によって生まれた感触を実感してく。斜に構えて自分の殻に閉じこもらずに、外の世界からの刺激を全身で受け止めてみること。美術は他人と競い合うものではない。どこまでも自分自身との孤独な戦い。その入り口、こういう世界であること初めて肌で感じるために、美大受験は一番手っ取り早い手段として存在する。特に若い時に試練を与えることで、乗り越えようと一所懸命に努力し、美しい感性は育んでいけるはずだ。

ただし、前へ前へ進むことばかりを考えてはいけない。どんなに素晴らしい知識や技術を習得しても、一番の核になる人間性が成熟していかなければ、観る人の心を揺さぶることはできない。だから自分なりに良い作品つくりにこだわっていく。効率よく最短のコースに心奪われて、目先のことに流されるようでは妥協の産物になってしまう。いつまでも好奇心を持って、新しいことを探し続け、新しいことを見つけていくこと。つまり自分の夢は大きいから、まだまだ未完成なのだと開き直る。小さくてもやる気の炎があったらいい。楽しいことを考えたり、美術にロマンを感じたりと意識は上向きになれる。つまり常に成功へ向かって努力していたら失敗はない。そんな心の習慣を目指していく。これが身に付けば本物なのかもしれない。いつも創作に心を燃やし、熱いエネルギーを放つからこそ、美術家だと呼ばれるにふさわしいのだ。

■HEART2019の関連企画 県美界隈展 『花』、Y氏とともに 2020年2月13日(木)~3月1日(日) 11:00-18:00 火水定休